採光と古い家並に調和した 重みを持つデザインの住居。 この吉田邸の場合は、京都特有の間口が狭く奥行きの長い土地ということもありまして、当初は中庭を広くとり階段部分も三階までを吹き抜けにして、そこからの採光をかなり期待していました。まあ途中で少し中庭を狭めたりはしましたが、それでもなおおもしろさは残っていると思います。それから、デザイン的には表正面
のアールの部分がポイントなんですが、これは西陣の古い家並である場所柄、周囲に違和感を感じさせずなおかつ何か重みをもたせようという意味でシンボリックなものをおいたわけです。少し硬いデザインかもしれませんがね。施主さんの信頼を受けていましたからやりやすい仕事でしたが、苦労した点をあげるなら工期がきつかったことでしょうか。
施主さんの意向、そして光と影を大切に。 私の場合、設計にあたっては施主さんの意向をどんどん取り入れることをモットーにしていますし、そのため計画段階で何十回となく話合いを持って実施設計に入ります。プランをおこす段階で大切にしているのは、周囲のロケーションと敷地を見て感じた自分の第一印象です。そして、光と影を大事にしたい思いで図面
にしていきます。とにかく形あるものはきれいでなくてはならないと思っています。
思いの通じる施工業者との仕事が理想。
施主さんのためという意味では、私は設計者と施工者は、当然密な関係を持っていなければならないと考えます。そうでないと良い仕事はできませんからね。例えば、こちらが壁の色を薄めにしてと注文しても、施工者の考える薄い目がどんなものかわかっていなければ色は違ってきます。このように見込みの話で進めて、わかってもらっているだろうと思っても、できていない場合がありますからね。その意味で、大岩さんとは仕事が多いこともあって、私の好み、例えば色や窓の額縁のサイズなどをわかってもらっているのでスムーズに仕事が進められます。 |
吹上晴彦 |