郊外の倉庫だって、心なごむ緑を大切に。 東洋地質調査さんの亀岡の建物は、倉庫兼寮ということで依頼されたわけなんですが、私としては単なる倉庫には見せたくなかったですね。池田から亀岡へ抜ける道路沿いにあって、意外に目立つ場所でもありますし、周辺に点在する工場とは一線を画した建物にしたかったのです。色などは周囲に溶け込むようモノトーンに押さえていますし、道路前面
に植樹をして緩衝地帯をつくったのが大きな特徴だと思います。 植込みにするか駐車場にするかで 建物の良さが変わる。 特に私の場合、中小企業の事務所や工場などの仕事が多いので、そうした場合の説得が難しいですね。例えば、「この木植えんかったら車2台駐められる。駐車場借りるとなんぼかかると思う」という話になり、なかなか理解してもらえないんです。それでも、「毎朝出社する方が何もない門やドアを入るのじゃなく、アプローチに木があれば心なごんで仕事につけるものです」などと手間がかかっても説得するんです。で、結果
OKをもらった建物は、出来上がってから施主さんに建物がよくなったって喜んでもらっています。 時間も予算も余裕を持った 計算のできる施工を。 大岩さんとはこれが初めての仕事でしたが、よく動いてくれたしこちらの思いを理解してくれたなという印象です。例えば私の場合、壁の色などは現場に身を置いて決めるのが一番間違いがないと思うのですが、時間的余裕のない時点で見本帳を持ってきて「早く」とせかされることが多いのです。その点で余裕をもってもらえたのはうれしかったですね。
職人の良し悪しはセンスできまる。 近ごろ職人さんが減っているということをよく聞きますが、それにも増して質の低下を感じます。技術的に基本を知らない人が増えていますよ。昔でいう頑固さを持たないというか、工程の理解をせずに部分だけを憶えてしまう人が多すぎます。例えば、私が「こうしてくれ」と言っても、「はあ」で終わり。なぜ私がこうしたいのかを理解しようとしないのです。これは現場での会話がぜんぜんないからなんです。私もその中で勉強できたのです。 |
木村弘和 |